やまめの里養魚場

五ヶ瀬やまめ養魚場

五ヶ瀬町のやまめの里養魚場は標高700m、九州脊梁山地の奥深く五ヶ瀬川源流にあります。昭和38年(1963)、五ヶ瀬川源流に生息する天然やまめの人工孵化に取り組んだことから始まります。翌、昭和39年に人工孵化に成功、同42年に人工孵化養殖の親魚から採卵に成功して循環養殖を確立しました。養魚場は、規模拡大に伴い立地を求めて移転を続け、現在では、豊富な地下水と豊かな谷水を併用できる場所にたどりつきました。ここは、用水に使用する谷水が濁流となる時は、湧水に切り替えることができるなど災害に強い立地です。また、 湧水と谷水では水温や水質が異なるため混合割合を変化させることで季節によってヤマメの生育に最も適した水質水温の環境をつくることができます。このため無投薬の健康なやまめの生産を続けていましたが、このことが認められて、平成19年度に淡水魚では初めて「五ケ瀬やまめ」として宮崎県の水産ブランド品第六号に認証されました。

活魚の成分分析試験結果報告書
薬品分析試験結果通知書-1
薬品分析試験結果通知書-2


熟度の鑑別

やまめは、秋の紅葉が始まる頃産卵を始めます。二歳になったやまめを1尾づつ手の感覚で熟度の鑑別を行います。成熟したメスは、腹部が大きくなってきます。完熟したメスは、腹部を触ると腹腔内で卵がざらざらと分離しているのが分かります。過熟卵にならないように、数日おきに熟度の鑑別を行い完熟したメスはすぐに採卵します。


採卵作業


やまめは、産卵すると寿命を終えます。このため、採卵作業を効率よく行うために腹部を切開して採卵します。完熟したやまめの尾をつかみ、採卵台の箱の中に頭部を入れて尾だけを持って固定し、腹を包丁で割って中の卵を採り出します。
この時、卵に水滴がつかないように、親魚は、布で体表の水滴をふき取って行います。


受精作業

採卵した卵は、受精用の器にまとめて入れます。次に、オスを乾いた布で体表の水分をふき取ってつかみ上げ腹部を押して精液を絞り出し、卵に掛けます。20尾の雌に対してオス3〜4尾から精液を搾出します。
次に、精液がすべての卵に交じり合うようにまんべんなく卵をかき混ぜます。次に水を加え洗卵します。この時受精が行われます。

やまめの誕生

孵化は、大きな目玉の頭と針のようにとがった尾を振り振り卵殻を破って出てきます。この時の孵化稚魚は、変幻自在で、体形を変えながら小さな空間の中にも入り込みます。やがて積算温度が700℃にもなると色素も沈着し魚の形になって水中にでてきて泳ぐようになります。この時餌付けを行います。