「みやざきサクラマス」

やまめの里では、宮崎県のおさかなブランド第六号「五ヶ瀬やまめ」を冬期間延岡の海で育てて巨大化することに成功しました。

この巨大化した海育ちやまめを宮崎の新しいブランドとして売り出すことにして産学官連携して「みやざきサクラマス消費拡大推進協議会」が結成され、1尾700g以上のものを「みやざきサクラマス」としてブランドの育成をはかることにしました。
更に延岡商工会議所では、1200g以上に育ったものを「ひむかサクラマス」と呼び、延岡の新たなブランドとして育て、延岡でなければ食べられない新たな郷土料理として売り出そうという取り組みが始まりました。
この巨大やまめは、やまめの里の他、浦城、島の浦、北浦などの海面養殖業者の皆さんが生産に取り組んでいます。

北海道のサクラマスは、水の冷たい渓流に遡上して秋に産卵、翌年渓流で成長し、その翌年降海して海で回遊しながら更に大きく育って親魚となり、再び川を遡上して河床に産床を掘って産卵し一生を終わります。

五ヶ瀬やまめは、水の冷たい渓流の奥深くのみに棲息していて、2年目の秋に成熟産卵し一生を終わります。上流を目指して上ることはありますが、下流へ降りようとする性質はありません。北海道のサクラマスは寿命が3年に対して五ヶ瀬やまめは2年。そして五ヶ瀬やまめは降海しないという違いがあります。

けれども、太古の昔は北海道のサクラマスと同じように海に降りて育っていました。高千穂峡谷を下り日向灘に出て、太平洋を回遊して育ち、産卵期が近づくと再び五ヶ瀬川をさかのぼって産卵していたのでしょう。

時代は進み、地球は温暖化して日向灘の海水温が高くなりました。このため冷水魚のサクラマスは水温の低い北の方へ移動し、残された魚は水の冷たい谷川の奥深くでひっそりと暮らすようになりました。このため寿命も短く、魚体も小さくなり、「ヤマメ」になったものと思われます。(ヤマメは河川陸封型)

更に時代が進んで平成24年の秋、九州山地の寒いやまめの里から冬も暖かい延岡の海にやまめを運んでそっと放しました。すると突然巨大化してサクラマスの姿になりました。太古のサクラマスが蘇えったに違いありません。神話の国、宮崎の風土が生んだ新しい命です。

やまめの里では、海から帰ってきたやまめを「海やまめ」または「サクラマス」と呼んでいます。産卵期前の8月から9月の海やまめは脂がのって最高においしいのです。


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