主催者のごあいさつ

 私たち「霧立越の歴史と自然を考える会」では昔の尾根伝いを辿る駄賃つけ道「霧立越」を掲げて、当地の歴史や自然、民俗文化、地域づくりなどをテーマにさまざまなシンポジウムを重ねて学んでまいりましたが、今回で7回を数えることになりました。

 今回のシンポジウムは「日本の自然再発見」―日本の桜と自然を語る―と題して、桜や自然についてより深く学ぶシンポジウムにしたいと計画いたしましたところ、ご遠方からも多くの方々にご参加いただきましてまことにありがとうございます。

 昨年4月29日に白岩山で珍しいサクラが開花しているのを発見しました。そこで、5月2日に写真撮影しまして、植物図鑑等で調べましたが、どうも九州には分布上ない筈のタカネザクラではないかと思いました。そこでインターネットのホームページに「このサクラについて教えてください」とその写真を掲載し、各方面の植物に詳しい方々へ資料を送りました。

 当会の理事、黒木勝実氏(椎葉村)からも宮崎植物研究会の斉藤政美先生に連絡して頂きました。斉藤先生はインターネットのホームページの写真をご覧になり、5月5日に飛んで来られました。5月12日は、日向森林管理署長さんたちがお出でになり、それぞれ現地へご案内しました。

 現地は、生物遺伝子資源保存林や白岩山石灰岩峰植物群落地として天然記念物に指定されている地域のため標本採集の許可申請を行って標本を採集し、斉藤先生は本日ご多忙のところ特別にお越しいただきました東大の大場秀章先生に標本を送って鑑定をお願いされました。

 その結果、オオヤマザクラというご返事を頂いたのでございます。しかしながら図鑑で比較して見るかぎりでは、オオヤマザクラと一致しない部分もあるような気がしまして「もしかして霧立山地特有の種ではないか」などと議論しておりました。

 本日は、その議論に終始符を打って頂くことと、九州にない筈のサクラがなぜ霧立山地にあるのだろうかという疑問から、サクラの種の特性や歴史、地質と気候、自然の生態等について知られざる世界を学び、目からうろこを落しながら「さくらの国日本」をみんなで楽しく考えるフォーラムにしたいと存じます。コンタクトレンズの方はご注意いただきたいと存じます。

 講師の先生方には、不躾けなお願いにも関わりませず、大変ご多忙なところご臨席を賜りご指導くださいますことを、まことにありがたく厚く御礼申し上げます。

 このフォーラムを開催するに当たりまして、関係各位の暖かいご理解とご支援によって実現しましたことをご報告し、深く感謝申し上げます。

続く