MRT生スタ955原稿  2001.7.30(月)


今日の話題は、先ずこの写真をご覧ください。この動物の顔、分りますか。夜行性の動物で木登りが得意です。ときおり空も飛びます・・・・・・・・・・・。

そうです。ムササビです。地元ではモマとも呼びます。実は,このムササビと暮らしているご夫婦の話題をお伝えしようと思います。
 この方は、五ケ瀬町鞍岡で農業を営んでいる興梠実さん(60歳)と奥さんのチミエさん(58歳)です。ムササビとの出会いは2年半前にさかのぼります。

 これが興梠さんのお家ですが、ある雨の日、奥さんのチミエさんが山仕事からの帰り道、大きな杉の木の下でオギャーオギャーと鳴いている小さな生き物を発見しました。モグラのような大きさで、生まれて間もないらしく、まだ目も開いていない動物で地面に濡れて横たわっていたそうです。
 可愛いそうにと思って持ち帰り、まわりの人に聞いたらムササビの子ではないかということになりました。そこで牛乳をストローで口に押し込んだらピチャピチャと音を立てて飲みはじめたそうです。すると見る見る成長してきたので今度は哺乳瓶でミルクを与えると両手で掴んで飲むようになったということです。

食事の時間は主に夜で、昼はほとんど眠っているそうですが、今では、ミルクは卒業してご飯と野菜を食べています。塩分のある物以外は人間の食べるものはなんでも食べるそうですが、特にソーセージと青シソが好物ということです。

興梠さん夫婦と遊んでいる時は、大変おとなしく肩の上に飛び乗ったりして野生動物とは信じられないほど楽しく遊びまわっています。ところが他の人が近付くと落ちつきがなくなって、逃げ出したり、飛びかかってきて爪で引掻いたりします。

これまで、何度も自然へ帰そうとしたそうですが、しばらくするとまた仕事場までついて来て離れなくなったということで、今は家族の一員のようにして一緒に暮らしています。ただ、夜は1晩中騒いでいて電気の配線をかじるのが好きで困らせているということで、今、夜は玄関に据えてある籠の中でくらしています。

私が訪ねた時は、籠の中の新聞紙の下に隠れていました。名前は「もえ」というそうで「もえ」と呼ぶと飛んできます。テレビドラマでは「もえ」は女性でしたが、このムササビはオスだそうです。

夜が明けるとこうしてしばらく遊んだ後、昼は,自動車の中で眠りにつきます。車の中の椅子の下がムササビのねぐらです。はじめの内は、どこへ出かけるにもムササビと一緒でしたが、その内自動車の配線をかじるようになって車が動かなくなりました。今では、この自動車はムササビの専用車です。うだるような熱波の中ですが、窓を少し開けておけば、標高が800mほどありますので涼風が入り、ムササビ君は、快適な暮らしを楽しんでいる風でした。 
興梠さんたちは、動物好きで、牛5頭、鶏5羽、犬2頭、猫4匹も飼っています。ムササビはもう自然界では生きていけないので最後まで家族として面倒を見るつもりだと興梠さんはいっていました。
以上、五ケ瀬からは、ムササビの話題でした。