かわら版 『風』 
2001年12月1日号
第1巻 第10号 (通巻10号)  発行者 やまめの里 企画編集 秋本 治 五ケ瀬町鞍岡4615  電話0982-83-2326

12月議会日程決まる
12月の議会は下記のような日程で開催されます。
12月11日(火)本会議 10:00〜
 〃 16日(日)本会議 10:00〜
 〃 21日(金)本会議 時間未定
 今回は、公民館長会からの申し入れにより、16日は日曜日開会を試行するということです。是非多くの方の傍聴をお待ちしています。
 まだ、議案の発表がないので内容はわかりませんが、一般質問通告の提出期限は12月5日午前中ということです。
 一般質問については、これから考えますが、1つは「情報通信のインフラ整備について」です。県内市町村でホームページを開設していない地域はもうほとんどなくなりましたが、本町はまだ開設されていません。この点でも情報発信が非常に立ち遅れています。
 国は、電子政府に向かって進みつつあり、県も電子行政を推し進めています。庁内LUNを構築し、情報の共有化と意思の疎通や情報公開が必要です。
 また、携帯電話の不通地帯やラジオ放送の電波が届かない地帯が多い。まさに本町は情報通信においても過疎地域となっています。
 他の過疎山村では、光ケーブルの敷設などで既にブロードバンドが利用できる高速回線網を敷設している地域も増えています。インターネット時代は情報の機会均等がいわれますが、情報通信インフラ整備が立ち遅れた地域は大きな格差が出てきます。
 最も大きな問題はやはり合併問題です。9月の議会でも質問を試みましたが、今回ももつと突っ込んで議論したいと思います。
 どうも合併問題は、皆さん避けているような雰囲気があります。この問題に取り組むと合併推進として受け取られかねないという意識があるようです。
 先ず、やらなければならないのは、行財政改革と自立のシナリオづくりでだと思います。どうしたらこれから五ケ瀬町が五ケ瀬町であることができるか、今まさにそのことが問われているのです。
議会情報
 歳入の半分以上は国からの地方交付税交付金によって町は成りたっています。この交付金はこれから確実に減額されます。そうすると少なくとも、今までの延長線では成りたたなくなるでしょう。そこをどう切り抜けるか研究しなければなりません。
 行政コストは人口30万都市が一番効率がいいとか、地方分権は7〜8万の市までという考え方も示されております。このように経済効率優先の政策のもとに合併をすすめ、7〜8万の広域に合併すれば一挙に過疎地域は消滅するでしょう。
 このため、厳しくても行財政改革と自立のためのシナリオづくりが必要です。国土保全や森林の公益機能をどのように数値化して交付税を多く勝ち取るかも連携して研究に取り組まなければなりません。賛同される学者の協力も必要です。
 身動きが取れなくなって地域が不利だとわかりつつも諦めて急転直下バタバタと合併劇に走るようなことは絶対避けなければなりません。
 また、仮に自立不能となった場合、最悪の場合はどことどう手を結ぶかといういくつものシナリオも保険として準備しておかなくてはならないでしょう。西臼杵三町の場合、又はフォレストピア圏域の五ケ瀬、椎葉、諸塚、高千穂、日之影の5町村の場合、或いは県境を越えて熊本県側との場合、などデータの整備は必要です。そして、すべてを住民に公開していくことです。
 前回の質問にありました西臼杵三町の助役会による合併研究会でも何が討議されているか、議会にも全くわかりません。
 こうしたことを議会で議論していくつもりです。読者のみなさんも是非ご意見をおよせください。

最近の情報から

金婚式おめでとうございます。
 11月22日(木)町民センターで五ケ瀬町合同金婚式がが開催されました。合同金婚式は本年で3回目ということですが、昭和26〜27年に結婚され50年の歳月をご夫婦むつまじく生きてこられた人生のお手本のような方ばかりです。
 昭和27年は、砂糖の統制がようやく廃止された年で戦後の復興期を乗り切って郷土を築いてこられたご苦労に感謝します。
 本年は、17組の方々が該当されて議会と公民館長などが来賓として出席し、町長、議長の祝辞に続いて祝い状と記念品が授与されました。本年度の該当者は次の方々です。

奈良津、山中清美・ササエ夫妻73・68
内の口、甲斐勲・キミエ夫妻71・70
寺村、坂田時雄・笑子夫妻73・70
宮の原、飯干久生・京子夫妻77・67
広木野、矢野芳郎・波子夫妻72・69
貫原、甲斐義綱・ヨシ子夫妻79・74
廻渕、武田傳・コハル夫妻70・70
室野、太田政敏・マレコ夫妻67・69
西、山本明・ハル子夫妻80・75
辻、興梠福美・美佐子夫妻72・72
麦の崎、佐藤實男・ミチ子夫妻70・69
スクナ原、甲斐時男・キミ子夫妻78・72
東光寺東、藤本制・好子夫妻76・69
芋の八重、唐仁原浅吉・民子夫妻75・70
祇園町、藤木茂・アサエ夫妻81・80
小川、藤本定幸・ノブ子夫妻75・72
古賀、田中光徳・美智子夫妻71・68

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マイスター地域おこし現地検討会
11月26日、宮崎県地域おこしマイスターによる「地域おこし検討会」が北諸県地区で開催されました。特定農山村法指定市町村を中心に
1.現状把握等のための視察調査
2.交流施設等の効果的活用方策の検討
3.地域おこしマイスターによる助言等
を行うもので宮崎県と県農業会議が主催するものです。
 当日は、8:20県庁集合、北諸県農業改良普及センター、山之口町の道の駅、金柑生産部会、三股町のソバ道場、山田町の交流センター「ゆぽっぽ」などを視察し、農業改良普及センターで討論を行いました。
 出席マイスターの専門分野は、
[営農活動]で南九州大学講師河内通信氏、[地域ネットワークづくり]で元宮崎大学講師濱川典昭氏、[農業情報・農業機械]で宮崎大学農学部教授永田雅輝氏、[土づくり]で南九州大学講師有村玄洋氏、[観光おこし]で県観光協会専務理事永崎収一氏、[イベント・ツーリズム]で元フェニックスカントリークラブ支配人室乃園一三氏、[郷土料理]で叶凾フ子社長森松平氏、[広報宣伝]で鉱脈社専務川口道子氏、[特産品づくり]で北郷町特産品加工組合長黒岩マサ子氏、[薬草]で森薬品兜白キ福原忠俊氏、[グリーン・ツーリズム]で筆者、併せて11名のマイスターが参加しました。
 県からは、農政企画課、観光リゾート課、地域振興課、北諸県農林振興局、北諸県農業改良普及センター、県農業会議等が出席。地域からは、山之口役場、山田町役場、三股町役場の関係各課とそれぞれの地域の民間団体やグループが参加、熱心に討論を行いました。

@山之口町の「道の駅山之口」
 山之口町の「道の駅」は、平成6年4月に九州ではもっとも早く建設省道路局長より「道の駅」の登録を受けました。
 施設は、駐車場、トイレ、案内標識、照明施設、修景植栽などを宮崎県が整備し、町は物産販売施設を設置しました。
 事業費は、県事業270.000千円、町事業72.000円で平成6年10月にオープンしたものです。(町事業の内訳は山村等振興対策補助金22.500千円。「快適空間みやざき」創生事業3.900千円、町費46.000千円)。
 また、平成12年には農林水産物処理加工施設、食材供給施設を追加併設しました。この事業は、総額212.892千円で内訳は、山村振興等農林漁業特別対策事業100.000千円、農産物輸入自由化生産構造強化事業で10.000千円、町費102.892千円です。
 施設の運営は、3セクで「道の駅山之口株式会社」を設立してこれに当らせています。会社の概要は、資本金三千万円で、山之口町が35%、JA都城、南酪、町商工会員で65%を出資、社員4名、パート6名で運営、売上は130.000千円です。

A山之口町の完熟金柑への取り組み
 山之口町では、平成7年より9年まで「みやざきフルーツランド確立対策事業」、「新リゾート果樹産地育成事業」、「定着性転作促進条件整備事業」、「リゾート果樹産地拡大事業」などで93.688千円を投入、苗木導入やハウスを建設しました。
 平成12年度で生産戸数12戸、生産面積2.0ha、生産量31トンとなっています。「たまたま」というブランドの大粒の金柑は市場性も高く、特産品に育てたいということです。価格は、kg当り1,177〜570円。

B三股町の「そば道場・百姓屋」
 三股町は、本年5月に「三股町グリーンツーリズム推進協議会」が設立され、都市と農村の交流を活発化するため具体的な実践活動を展開しています。
 メンバーは、町の農林振興課を事務局に助役、畜産課、農業委員会、企画調整課、生涯学習課などの行政側とJA、商工会、SAP、中核農家協議会などの団体。それに民間の農業経営者塾、農産加工品グループ、生活改善グループ、それに陶芸協会などで構成されています。
 その中のメインとなるものが「そば道場・百姓屋」で、今回はオーナーの木下行春さん宅へお邪魔しました。
 木下さんは、本県の農業のあり方を追求すると言い、農業経営者塾を主宰。塾生の経営する水稲、大豆、たばこ、ハウス園芸、和牛、肥育牛、酪農などの農家体験を仕掛けています。
 「そば道場・百姓屋」は、牛舎と隣接して大型コンバインやトラクターなど大きな農機具がところ狭しと並んでいるガレージ隣に建てられており、ちょっと違和感はありましたが、農機具のスケールの大きさにはびっくりしました。
 「ソバ」は、大型コンバインで刈り取り、特種な製粉機で「つなぎ」の不用なソバ粉を製造していました。ソバには、実を割ると中心部分に「内粉」と呼ぶ白い粉の部分があり、この「内粉」がソバを打った時にばらばらにする作用があるといいます。
 特種な製粉方法は、この実の中心部を割って内粉を取り出すという方法で、内粉とソバ粉を分離して取り出していました。こうしたソバ粉は、小麦などのつなぎを入れなくても細く打った麺がちぎれません。「そば道場・百姓屋」では、ソーメンのような細いソバを食べました。出汁は、馬肉ということです。
 長野県では、ソバのつなぎにオオヤマボクチという植物の葉をモグサ状にして加えて打つソバが有名です。当地ではヤマイモを使いますね。さてどちらが美味しいでしょうか。筆者は、やはり当地のヤマイモをつなぎにして地鶏の出汁が一番美味しいように思いますが―。内粉を果たして取り去る必要があるのか疑問です。
 当地では、伐採跡地があちこちにみられますが、そこで焼畑ソバを作ったら魅力がでてくることでしょう。

C山田町の「総合交流ターミナル」
 「かかしの里」山田町は平成12年5月に17億円を投じて温泉施設「ゆぽっぽ」をオープンさせました。湯量が豊かで、泉質がいいことから年間利用人数は、当初の予想を上回る46万人ということです。
 ここに併設されたのが、地場産品を食材としたレストラン、地場産のパンとソバの加工体験施設、直売所、宿泊室などです。
 運営は、町と農協、商工会、森林組合出資による第3セクター「鰍ュえびこ山田」で、常時36人、臨時30名が雇用されています。
 特産品の売上は、7月現在で137.800千円。レストランの売上は、当初の目標30.000千円/年に対して95.794千円/年ということで目標を大きく上回っているという羨ましいようなお話でした。
 更に同町は、パークゴルフ場の建設も進めており、6コース54ホールという大規模なものです。パークゴルフは野球ボールのような大きな球を使うゴルフで誰でも気軽に楽しむことができるスポーツです。北海道が発祥の地といわれますが昨年北海道を訪れた時も広大な牧場を使い多くの老若男女が楽しんでいました。

 こうした施設を見て廻り、説明を聞いて「ああでもない、こうでもない」などとマイスターが専門的にアドバイス?(実は無責任に勝手な発言をしているのかも)をするというものです。

※「マイスター」とは、ドイツ語で「名人、巨匠、師匠」などという意味があり、農水省が地域おこしの手法として日本版地域おこしマイスター制度を発足させたものです。「営農活動、景観づくり、地域デザイン、地域ネットワークづくり、郷土史、郷土芸能、郷土料理、観光興し、食品開発、生産方式・販売・マーケティングなどさまざまな活動で中山間地域の活性化をリードする優れた専門的知識や技能などを持った人材」とあります。
 宮崎県では、16名が委嘱登録されています。筆者はマイスターと言えるほどのプロだとは思えませんが、それぞれがその道の専門家でもあるのでお互いに学び合えます。
 仕事は、年に2〜3回全国の先進地へ出かけて研修することと、県内の各地域へ出かけて助言指導することです。こうした費用は県が負担しますので、積極的に地域づくりに活用されることをお薦めします。各分野の専門化の集団ですので通常のコンサルタントより総合力はあります。

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プレ宮崎県民体育大会冬季大会
 11月28日、午後7時より日向市で宮崎県スキー連盟の理事会を開催しました。主な議題は、冬季スキーシーズンの事業計画についてですが、その中で宮崎県民体育大会冬季大会に向けてプレ宮崎県民体育大会の開催を決定しました。
期日は、2002年2月24日(日)、場所は五ケ瀬ハイランドスキー場です。詳細については次号から逐次お知らせ致していきます。

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ふるさと活性化セミナー京都編
 11月29日〜30日、京都府美山町でふるさと活性化セミナーが開催され全国から300人ほどの参加がありました。宮崎からは、筆者など5名のマイスターが派遣されました。
 今回のテーマは、「景観保全と交流の推進」で主催者の?都市農山漁村交流活性化機構専務の赤木壮氏や農林水産省中山間地域振興室の佐藤実氏の挨拶の後、鳥取環境大学の中川聴七燻≠フ講演、美山町役場助役小馬勝美氏の事例発表がありました。
 翌日は、美山かやぶき美術館、神田の水、かやぶきの里北集落、観光農園江和ランド、芦生原生林、美山自然文化村などを現地研修しました。
 美山村は、京都から若狭湾へ越していく途中の深い山の中にあり、面積は340ku。京都府内町村では一番大きい町です。その町には全国町村の中で、茅葺民家がもっとも多く現存しているということです。この民家を保存しながら特産品の開発や都市と農村の交流事業に取り組み、優秀観光地づくりとして国土交通大臣賞などを受賞しています。
 詳しくは、次号から掲載していきます。


以下、鈴木輝隆さんのリポートです。

〇既にそこにあるものを活かす時代
―農地を歩くイギリスの事例―
 10月1日から8日間、イギリスへ行ってきました。農山村部、いわゆる条件不利地域において、地域にあるものをそのまま活かして地域振興ができるということを聞いたのです。ほとんど作らないで、あるものを活かして地域振興ができるとは、これは最高ではないかと思いまして体験してきました。何にも作らなくて、その風景を利用しただけで地域振興になっていました。日本でいうようなにぎやかな活性化ではありません。

 実際、行ってみますと、本物の農村や農地があり、ただその中を歩くということなのです。イギリス人というのは、歩くことが好きな国民だそうです。そして、イギリスは国土の80%が農地なのです。農村を歩くということが観光になり、交流になっているのです。

 駐車場もトイレも新たに作ったものはないのです。歩道さえも作ってはいません。牧場の中を、畠の真ん中を、ここが道だという道はありません。普通の道は車が通りますが、人間が通る道は新たに作るのではなくて、道はこちらですと矢印で示した15cmくらいの小さなステッカーだけが牧場の柱に貼ってあるだけです。道に沿っていくと、牧場があり、その牧場の柵を乗り越えるために小さな木で作った台があるだけです。あるいは、牛や羊が出ていかないように一人だけが通ることのできるゲートが設置されているだけなのです。柵をくぐるか、乗り越えて行き、そして、道のない牧場の真中を歩いている自分が気持ちよいのです。

 駐車場や売店はないので、人は何処から歩くかと言えば、町の中の駐車場に車を置いて歩き出す。町の中心から農場まで歩いて行くか、タクシーを利用するかです。タクシーを利用する人は20%いるのです。そうすると、牧場に駐車場を作らなくてよいから、環境を大きく変えなくて良いわけです。我々も大きな駐車場がある農村を好んではいないのです。道にしても、コンクリートとかでしっかりと舗装されていない道や牧場や農地の方が気持ちがいいのです。

 トイレも作っていません。その代わり、昔から営業している地域のパブやレストランなどの店があって、そこで、コーヒーを飲んだり、紅茶を飲んだり、ビールを飲んだりして、その店のトイレを借りるのです。昔からある地域の生活圏の活性化につながるのです。町の中に車を停めているから、町の中の店ににも買い物に行きます。

 キャベツ畑などの真中を歩いて行くその気持ち良さは実際歩いてみないと分からないと思います。新たなものはほとんど作っていないのです。農場の柵のそのままに、一人ずつ出入り出来るようになっているだけです。そして、看板を新たに設置するのではなく、方向を示すステッカー1枚だけです。道も舗装されていませんから、靴がグチャグチャに汚れるところもあるわけです。タクシーには迷惑だろうと思いましたが、運転手はビニール袋を用意していて、その袋の中に靴ごと履いて乗ればいいのです。

 舗装がしてないのでグチャグチャであったり、牛のフンもありますが、人間が気をつけて歩けばいいのです。歩道の維持管理費はいらない。人間が歩くために作った人工の道より普通に歩いた方が気持ちいいのでこれでいいのです。あるものをそのまま活かしているわけです。みんなあるものを生かしているから、そんなに大きなお金もかけることはないし、維持管理費も少ない。なおかつ地域の経済にも貢献し、歩いている人もこの方が気持ちがいいのです。

 でも、日本の中ではこうはいかないのです。観光客の方から注文やクレームが出るからです。こんなグチャグチャな所を歩かせるのか。確かに靴は汚れます。農村や農地の中を歩けば、汚れて当たり前なのです。造っていない自然の中を歩くから、我々は気持ちよく実は歩けるということを発見するわけです。

 ですから、我々は何をするにも、少々贅沢に作り過ぎているではないか。もっとあるものを活かしていくということが実は重要じゃないかなと思ったのです。こうした例のように、イギリスの作り過ぎない手法からは学ぶことがたくさんあります。

〇風景は地域のメディア・イベントは地域の学習装置
―手作りではじめた「狐の夜祭り」―
 地域社会の個性を見つけるためにイベントをするのです。高柳では、狐の夜祭というのを11年前から始めました。夕方、狐の格好をして、畳1畳敷きのあぶらげを揚げたりします。狐のお面をつけ、白い装束を着て、狐の踊りや音楽もあるのです。地元の人たち自身で工夫したイベントです。「ゆめおいびと」という人たちがしているのです。和紙職人の小林康生さんの漉いている和紙を利用して、型絵染めの村田仙三さんが作った洒落たデザインのちょうちんを持って、その中にロウソクを灯して山から下りていくのです。

 夕焼けの時に、山から峠を越えて降りて行くのです。みんながちょうちんを持って、お爺さんやお孫さんが手をつなぎ、地域の人やよそから来た人たちが300人以上の人が歩いていくのです。下から見れば、山の上から下のほうまで明かりが続いて見えるのです。それだけで感動しちゃうのですね。何ともいえず、懐かしく自分の住んでいる集落の灯りが風景として現われるのです。

 風景というのは地域のメディアとして大切なのです。車社会になって暮らしている地域を村人が歩かなくなってしまった。そこで、こうしたかたちで地域の良さを見せる。そんなイベントやっているのです。

編集後記

 寒くなりました。いよいよスキーシーズンの幕開けです。

 11月は後半に行事が詰まっていて、バタバタしています。もっとよい情報をと考えていますが、スキー場オープンのテープカットを済ませてからこの原稿を書いています。残りは次号をご期待ください。

皆さんからの疑問質問にもお答えします。気楽に投稿ください。

 この私設「かわら版」は14区民の皆様を対象に配布しておりますが14区以外の方にもお送りできますのでご紹介ください。郵送料として年会費千円のご負担をお願いしています。
(治)
 イベントは一つの学習装置なのです。地域の風景を見直させるという学習装置です。そして、その村の風景を美しくしていくという為に、風景の作り方を自分たちで学習する。町が汚ければ感動しないのです。ですから、イベントはただ客を呼ぶだけじゃなくて、自分たちが勉強したい、あるいは、それに参加する人にこうしたことを学習させたいというのをやっているです。このように地域の癖(風景)を学習していったり、地域の中のいろいな人の癖を繋いでいく。まあ、人間の生態としての癖をもっと活用していくということが必要だと思います。

新 聞 寄 稿

 毎日新聞「明日のために・ぴりっとからっと」の原稿です。さる11月28日付に掲載されました。
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 秋が深まり、冬至が近づくと山村のあちこちでは夜神楽が始まる。ピーンと冷えこんだ空気に笛や太鼓の音が響くと郷愁をそそられるものである。
 五ケ瀬町鞍岡の大石の内地区でもこのほど「おひまち」があり、鞍岡祇園神楽33番が舞い通された。
 「おひまち」とは天照大神をお祀りした天津神社でお社(やしろ)にお籠(こも)りして朝日を迎える「お日待ち神事」である。天照大神は太陽を象徴しているので「おてんとさん」とも呼ばれ親しまれている。
 お神楽は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が日向の橘の小戸の阿波岐原で禊(みそぎ)をした時生まれた神々の舞いからはじまり、朝、太陽が昇る頃、天照大神を天の岩戸からお連れするという一連の舞いである。
 神話は、天津神系と国津神系の神々が登場する。天津神は、皇祖神の系譜であり、国津神は土着の神だ。天津神を渡来人、国津神を縄文人として神格化して語り伝えたと見ると神話は興味深いものがある。
 渡来した天津神は、国津神を服従させながら東進を繰り返し九州山地を越え天下りしてついに一つ葉海岸に到達した。ここを東の果てとして皇祖神の天照大神の誕生の地にした。お神楽はそんなイメージをわかせてくれる。
 神楽は地域によって楽や命づけ、舞い方などが異なる。その昔、お祭りに歩いて集まり、終わって帰れる範囲が集落の基本を構成したのだ。お神楽は、その地域の中に浸潤していくにつれそれぞれ異なってきた。
 神楽の数は集落の数でもある。国家起源を語る神話はこうして地域の遺伝子となって伝承されたのだ。
 県観光協会の資料によると宮崎は、山村から漁村まで200種を超える神楽が伝承されている。全国でもっとも神楽の多い県である。
 神話は、日本最初の都が宮崎であったことを伝えているのではないか。神話を宮崎のアイデンティティとしてもっと活用すべきである。

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