かわら版 『風』 
2001年9月15日号
第1巻 第5号 (通巻5号)  発行者 やまめの里 企画編集 秋本 治 五ケ瀬町鞍岡4615  電話0982-83-2326


今月のニュースから
 先日のアメリカで起きた同時多発テロは本当に信じられないできごとでした。亡くなった方々に深く哀悼の意を捧げたいと思います。

 ニューヨークの高層ビル「世界貿易センタービル」やペンタゴンと呼ぶ「国防総省」にハイジャックした旅客機で突っ込むなんてだれも予想できなかったことです。ナイフ一本であのような犯罪を起すとは、しかも水も漏らさないといわれる完全武装のペンタゴンまで。もう一機、墜落した飛行機も大統領を狙ってホワイトハウスを目標にしていたのが失敗したのでしょう。

 中継しているテレビの画面で次々と起る惨事は、まるでSFのドラマを見ているようでした。中継する時間帯を計算していたのでしょう。これは相当計画的な高度で大組織の犯行です。ブッシュ大統領は、これは戦争だといっていました。

 アメリカのマスコミが第二のパールハーバー(真珠湾攻撃)と言っているのには、何ともやり場のない気持ちでした。かつて日本が真珠湾に奇襲攻撃をかけてアメリカに宣戦布告した時を引き合いに出されるとは。

 しだいに犯人像や組織も解明されて、どうやらアラブのテロリスト、ウサマ・ビン・ラディン氏率いるイスラム原理主義勢力のようです。テロリストたちは、イスラム教によりマインドコントロールされていたのでしょう。あのような特攻行為は、宗教がらみでなければ聖戦とする教育はできないはずです。

かつて日本の神風「特攻隊」を思い出しました。
 アメリカは既に戦時態勢です。やがて空爆等の報復を始めるので中東地域は血で染まるでしょう。ウサマ・ビン・ラディン氏が隠れいるとされるアフガニスタンをペルシャ湾側からパキスタンの上空を通って空爆する戦陣をすすめています。

 テロは断固として排除しなければなりません。が、勢いあまってミサイルを使い、世界を巻き込んだ戦争にならなければよいがと気になります。ウサマ・ビン・ラディン氏はテロを指示していないと声明を出していますし、ウサマ・ビン・ラディン氏を支持する勢力も中東諸国には多い。

 テロリストは世界50カ国に潜伏していると言われていますので、報復が報復を呼び各地で火の手があがる恐れがあります。核戦争に発展しますと大変なことになります。泥沼化のおそれもあります。

 ブッシュ大統領も、自国の利益第1主義として世界を自国の都合に合わせた政策で押さえつけるのはやめてもらいたいものです。民族や宗教問題は慎重に対応しなければなりません。アラーの神を掲げる中東諸国は石油資源のもとに独特な思想文化を持っています。侵略されたと思う人間のうらみつらみは恐ろしい方向へ発展します。

 日本経済も、最悪の時期にこの事件で更に株価が暴落、ついに平均株価が一万円を割ってしまいました。14日には少し持ち直したようですが、経済も世界恐慌へ突っ走っているように見えます。
 このような時こそ、外で何があっても地域が守られるように、生き残れるように、しっかりした地域政策を立て、真剣に取り組まなければなりません。

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 ビッグニュースに隠れていましたが、日本でも身近に心配される事件が発生しました。千葉県で狂牛病が発生したというニュースです。狂牛病の牛を人が食べるとヤコブ病になるおそれがあるといわれますので広域的に発生すると日本はパニック状態となります。

 疑いを持たれる肉骨紛の飼料は、国内で40万トン使われていますが、その内10万トンは輸入されています。感染源を徹底究明し、この一件でおさまることを願うばかりです。

以下は、狂牛病についての情報です。そのまま資料を引用します。
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新聞のニュースから
 ◇感染疑いの牛は北海道生まれ 千葉の農家「3年前に購入」(9/11)
 ◇狂牛病検査方法を再検討…農水省(9/11)
 ◇農水省が対策説明会、市場や販売業者は安全PR(9/11)
 ◇国内初、狂牛病の疑い 千葉で乳牛1頭、輸入飼料から感染?(9/11)
 ◇酪農家、消費者に衝撃(9/11)
 ◇「対岸の火事と思っていた」…消費者(9/11)
 ◇牛乳では感染せず、冷静な対応呼びかける…専門家(9/11)
 ◇脳やせき髄…、食品混入危険度―欧州の基準(9/11)
 ◇「食の安全」認識にズレ(9/11)
 ◇ヤコブ病感染、英では100人死亡(9/11)

狂牛病について
1)狂牛病(正式には牛海綿状脳症BSE)は,1986年に英国で発見されました.BSEにかかった牛は脳を冒され,歩くこともままならなくなり死亡します.BSEにかかった牛の脳を顕微鏡で見ると,非常に細かい穴がたくさんあいたように見えます.この様子がスポンジに似ているので,海綿状脳症と呼ばれるのです.

2) 狂牛病はは圧倒的に英国に多く(BSE全体の98%以上),はっきりとBSEの症状が出ている牛だけでも15万頭見つかりました.その他のヨーロッパ諸国と,カナダなどでもBSEが見つかっていますが,英国に比べて頻度ははるかに低くなっています.
3)狂牛病の原因はプリオンとよばれる特殊な蛋白が病原体といわれています.プリオンは冷凍にも料理の熱にもびくともしない,たちの悪い病原体です.BSEに感染した牛(発症前の潜伏期間中)の神経組織や内臓を加工した動物性飼料を感染源に広まっていきました.
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<狂牛病>肉骨粉入り飼料の牛への使用禁止 農水省
千葉県で狂牛病の疑いのある牛が発見されたことを受けて農水省は13日、飼料安全法に基づく省令を改正し、牛を対象にした飼料について、動物性飼料の肉骨粉入りの製造と使用の禁止を飼料メーカーや農家、販売業者に義務付ける方針を決めた。月内にも実施する。違反者には懲役3年以下か30万円以下の罰金が科せられる。(毎日新聞)

肉骨粉入り飼料とは、
肉牛などを解体した際に、筋肉など食べる部分を除いた残りの内臓や皮、骨などをまとめて化学処理し、たんぱく質だけを取り出して作った飼料のこと。同時に脂肪やカルシウムが取り出されて利用される。
 ニワトリなどは狂牛病にかからないため、肉骨粉を与えても問題ないはずだが、ニワトリ用とされた飼料が結局は牛などに与えられることがあるため、EUは今年、全面使用禁止に踏み切った。

狂牛病感染の危険度
高度感染性:脳、せき髄、目
中度感染性:回腸、リンパ節、近位結腸、ひ臓、へんとう、硬膜、松果体、胎盤、脳せき髄液、下垂体、副腎
低度感染性:遠位結腸、鼻粘膜、末しょう神経、骨髄、肝臓、肺、すい臓、胸腺
感染性なし:心臓、腎臓、乳腺、牛乳、卵巣、唾液、唾液腺、精のう、血清、骨格筋、こう丸、甲状腺、子宮、胎児組織、胆汁、骨、軟骨組織、結合組織、毛、皮膚
(EU医薬品審査庁による分類)

議会情報
以上、最近のニュースからでした。

9月7日(金)午前10時から本会議が開催されました。

日程及び上程された議案は、次の通りです。。
日程第1.会議録署名議員の指名
日程第2.会期の決定について
日程第3.諸般の報告
日程第4.議案第42号
 平成12年度五ケ瀬町一般会計歳入歳出決算の認定について
日程第5.議案第43号
 平成12年度五ケ瀬町国民健康保険特別会計歳入歳出決算の認定について
日程第6.議案第44号
 平成12年度五ケ瀬町老人保健特別会計歳入歳出決算の認定について
日程第7.議案第45号
 平成12年度五ケ瀬町簡易水道事業特別会計歳入歳出決算の認定について
日程第8.議案第46号
 平成12年度五ケ瀬町国民健康保険病院事業会計決算の認定について
日程第9.議案第47号
 平成12年度五ケ瀬町介護保健特別会計歳入歳出決算の認定について
日程第10.議案第48号
 五ケ瀬町税条例の一部改正について
日程第11.議案第49号
 災害弔慰金支給に関する条例の一部改正について
日程第12.議案第50号
 平成13年度五ケ瀬町一般会計補正予算について
日程第13.議案第51号
 平成13年度五ケ瀬町国民健康保険特別会計(事業勘定)補正予算について
日程第14.議案第52号
 平成13年度五ケ瀬町簡易水道事業特別会計補正予算について
日程第15.議案第53号
 平成13年度五ケ瀬町介護保健特別会計補正予算について
日程第16.議案第54号
 五ケ瀬町過疎地域自立促進計画の変更について

以上の議案が上程され、町長から提案理由の説明があり閉会しました。
11日に開催される本会議の総括質疑に向けて議案熟読期間として10日まで休会です。

この中で
議案第47号までは各種会計の決算の認定。
議案第48号は条例の一部改正で要旨は、
 「所得割の納税義務者が、平成13年10月1日から平成15年3月31日までの間上場株式等の譲渡をした場合、譲渡所得の金額の計算上譲渡所得の金額から100万円を控除する」というものです。
議案第49号の災害弔慰金支給等に関する条例の改正は、
『第3条中「第1条に規定する災害」の次に「及びその他の災害」を加える』というものです。
議案第50号〜53号までは、
 一般会計補正予算
歳入歳出にそれぞれ117.173千円を追加して4.267.440千円にする。
 国民健康保険特別会計補正予算
歳入歳出それぞれ2.967千円を追加して504.887千円にする。
 簡易水道事業特別会計補正予算
歳入歳出それぞれ615千円を追加して25.806千円にする。
 介護保健特別会計補正予算
歳入歳出それぞれ12.493千円を追加して311.104千円にする。
というものです。
 議案第54号五ケ瀬町過疎地域自立促進計画の変更は
町道坂本線の事業内容に
L=100m W=3.5〜4.0mの事業を追加する。というものです。
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11日の議会(総括質疑)
午前10時から開会、総括質疑を行ないました。
質問者と答弁要旨
後藤桂治議員
 路線バスダイヤ変更に伴う負担金177.300円と生活路線バス運行費補助金5.382.000円は。
答弁
企画課長 赤字バス路線の補助は、県費が2分の一。今後は代替バスに切り替えることを検討している。
橋本進議員
 わかりやすく説明してもらいたい。
坂本亀十議員
1.町税不納欠損額6.217千円は。
2.少子化対策3.000千円は。
3.遠距離通学補助264千円は。
答弁
住民課長 不納欠損の内訳は、倒産企業のものが主である。少子化対策は、保育所の備品購入等である。遠距離通学補助は、鞍岡中学校の生徒で冬季季節寄宿舎廃止に伴う措置である。

筆者の質問
1.公債費が増加している。これまでの起債実績から今後どのように公債費が変動するか、項目別に長期シュミレーションしてマトリックスで示してもらいたい。
2.公有財産の項で山林は、4.935.649uとなっているが、山林の項では、所有林が3.299.137uとなっている。この違いは。
3.決算書の公有財産の項で、建物等事業用と見られる財産が多いが、単に面積の数量だけを表す決算資料では資産負債の掌握や財産の評価ができない。こうしたことから会計の仕組みに複式簿記を取り入れる考えはないか。
答弁
財政課長 山林の数値の違いは、植林地と山林全体の数値の違いである。
 複式簿記導入については、県内でも作製しているところがない。県からの指示もないので考えていない。
 公債費の件は内部で検討する。

質疑を終了し、すべての議案を各常任委員会に付託して閉会。
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議事録にはどう書かれるか解りませんが、議場ではいろんなやり取りがあり、要約すると以上のようなことでした。
今回は、筆者も始めての質問であり議論になり得なかったので反省しています。
答弁の財政課長は、突然の質問に困惑されて何度も聞き返えされるので、何度も応答を重ねていたら、町長から「3回以上の質問はしてはいけない。本日の議会は、決算についての質疑であるからこのような質問は別の一般質問ですべきだ。」と議長と質問者に注意をされて幕となった。
 筆者は質問の説明を求められたのだから何度も説明しようとしたのに。議運のいう一議員一回質問の原則は、質問項目を増やしたら、すぐ3回以上になって再質問ができなくなってしまう。また、決算書の提示の仕方についての質問だから決算の総括質疑として認めてもいい筈だ。まして議長が制止していないのだから。不満の残る議会であった。議長もはじめてであり「これにて解散」と宣し、はやばやの閉会となった。議会を解散したら大変だ。

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常任委員会で担当課長の説明始まる

常任委員会に付託された案件は次のとおりです。
〇総務常任委員会
・議会・総務課・財政課・企画商工課・税務課・出納室の所管に属する事項

〇農林建設常任委員会
・農林課・建設課の所管に属する事項

〇文教・厚生常任委員会
・住民課・福祉課・教育委員会の所管に属する事項
・国民健康保険特別会計決算について
・老人保健特別会計決算について
・病院事業会計決算について
・介護保険特別会計決算について

委員会構成については、以前この欄でお知らせしていますので構成議員名はそちらを参考にしてください。

筆者の所属する文教・厚生は第3会議室で調査しています。
11日午後は住民課長、12日午前は教育次長、午後からは病院事務長、13日午前中は福祉課長からそれぞれ説明を受けました。
この中で早めにお知らせした方がいいと思われる情報は、小泉改革によって14年度から国民年金の徴収を社会保険事務所が行なうようになるということです。
また、問題があるのは町病院です。
ちなみに、12年度の収支は

〇収入の部
医業収益
入院収益  261.520.865
外来収益  275.020.343
町負担    50.000.000
その他の収益 23.170.453
医業外収益
受取利息     72.000
補助金    6.951.000
町負担   118.000.000
患者外給食収益 431.800
国保事業繰入金 550.000
その他の収益 1.718.523
収益合計  737.434.984
〇支出の部
医業費用
給与費   438.892.359
材料費   186.005.558
経費     83.474.018
減価償却費  77.181.757
資産減耗    295.827
研究研修費  1.536.090
医業外費用
支払利息   20.475.036
患者外給食材料 848.110
特別損失   6.384.472
費用合計  815.093.227
損益    -77.658.243

起債残高 1.385.326.844

24日まで詳細に調査しますのでご意見をおよせください。

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 これからの議会日程及び行事予定
9月17日(月)
文教・厚生の政務調査は学校、医療施設、出張診療所など予定
9月18日(火)
本会議10時から(一般質問)
9月21日(金)
政務調査予定(必要に応じて)
9月25日(火)
本会議(最終)午後開会予定
場合によっては26日まで。
9月27日(木)
国道503整備促進期成同盟会総会
(諸塚村)
10月4日(木)
九州横断自動車道延岡線建設促進地方大会(蘇陽町)
10月5日(金)
郡議員大会(日之影町)
10月10日(水)
町村議会臨時総会・議員大会(新富町)
10月26日(金)
4町村議員交流会(蘇陽町)

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 18日の一般質問
筆者は次の質問を通告しています。

一般質問通告
 五ケ瀬町の町づくりについて。
1.長期総合計画基本について
 本年3月に策定された「第四次・五ケ瀬町長期総合計画基本構想」における町づくりの基本理念「ユニバーサルコミュニティ五ケ瀬」は、難解な言葉のため住民の理解が得られていない。また、五ケ瀬町のめざす方向がイメージできない。町づくりのキーワードは住民の理解の元にすすめなければならないと思う。再度分り易くご説明頂きたい。そして掲げた理念が理解されない場合はどのように対処されるか伺いたい。
 また、まちづくりの指針として「地域内循環型市場から広域型市場の形成による地域経済の活性化」とあるが、ウルグァイラウンド以降、日本の農山村はグローバル・スタンダードに組み込まれ疲弊している。これからの過疎山村は、都市と山村の交流を基軸に環境保全型農林業や多品種少量生産、環境重視型のふるさとづくりにより、地域循環経済を創出し、コミュニティビジネス等を振興させなければならないと思う。
 また、公共事業に投下される金額は莫大であるが地域経済は活況を呈していない。これは、地域内で発生する購買力や投資力が地域外循環経済へ流失し地域内循環経済が形成されないことが原因と思う。矛盾しないか伺いたい。
 これからのコミュニティは「官依存型の地域社会」から、地域のことは地域自ら選択決定し、地域の主体性と責任に基づく「内発的自立型の地域社会」へと転換する必要があると思う。このことについてお考えを伺いたい。

2.五ケ瀬町の財政状況について
 去る8月18日付の宮崎日日新聞に「地方交付税見直し論への県内市町村長の主な意見」として「多額の地方債残高を抱えているため削減には反対」とする町長の意見が掲載されていた。また、同紙によると財政力指数が五ケ瀬町は、0.113とあり、県内の市の平均は0.509、町村の平均は0.270である。県内の「市」と「町」の中で五ケ瀬町は最下位に位置している。
また、平成13年度の一般会計予算書では、3.950.000千円の予算のうち公債費が1.036.963千円で公債費率は実に26.25%であり、前年度の地方債残高は7.031.496千円である。一方、地方交付税交付金は、2.200.000千円で歳入の55%を占めているが、地方交付税交付金は、今後小泉改革により削減される方向にある。このような情報から判断すると、もはや五ケ瀬町の財政は破綻しているのではないか。財政のアカウンタビリティとして、今の財政状態についてどのように認識されているのか伺いたい。
 そして「どのような地域社会の創造を目指し、それを支える財政はどうあるべきか、そしてそれをどう実現されるか」、来るべき分権型社会を展望した財政分析と財政再構築のビジョンを示して頂きたい。
 事業を行なうために借金を増やした結果、その事業が住民の生命や財産を守り、暮らしを豊かにし、地域産業の振興に寄与することができなければ、また、その効果が投資額に対してあまりにも小さく、その事業により民業を圧迫する部分が生じれば、あきらかに政策に問題がある。この際、これまでの事業を個別に検証し、改めて今後の事業計画を抜本的に見直すお考えはないか伺いたい。

3.市町村合併問題について
 市町村合併問題について、西臼杵の三町を対象にした合併を想定して、既に三町の助役会では合併推進のための協議会が設置されているという風に聞き及んでいるが、どのような名称でどのような協議がなされているのか正確な情報を開示して頂きたい。
 また、市町村合併は、地域の自立を問われている問題でもある。このような時に、一番真剣に考えなければならないことは、五ケ瀬町が将来とも自立できるか否かということであり、五ケ瀬町の自立のためのシナリオが描けるかどうかということを突きつけられているようなものと思う。五ケ瀬町が自立するためには、自立のための指針や行動計画の策定が必要である。また、合併は、町の個性や地域固有の文化を失う。今こそ、郷土芸能や生活文化を改めて調査し、文化財に指定する等の作業が必要ではないか。これらのことについてどのように対処されるのか伺いたい。

4.情報公開について
 これからの分権型社会は、自立と連携が重要である。その基本となるものは、住民参加、住民主体による行政と共働のまちづくりでなければならないと思う。このためには情報の共有がなにより大切である。
 これまでも、住民や関係者が知らないところで、いつのまにかものごとが決定されてしまうケースが見られた。これでは、自立と連携、住民参加、住民主体による共働のまちづくりはできない。今後開かれた町政にするためにはあらゆる情報の公開は欠かせないと思う。情報公開について、今後どのように対処されるのか伺いたい。
以上

はじめての政策論争に挑みますが、はてさて、どのような答えを引き出せるか。時間の都合がつく方は、傍聴に来てください。10時開会です。
まちづくり講座

 筆者がかかわっている山梨県早川町に関する鈴木さんのリポートを連載します。

 農山村地域における「中間領域」の創造
江戸川大学助教授 鈴木輝隆
■はじめに
 「何をたよりに生きようか」。山を守り、山と共に生きてきた山里の住民は、急激な社会変化の中で、なすすべもなく黙している。戦後、日本の経済成長とともに山村は過疎化が進み、さまざまな政策が行われてきたが人口減少は止まらない。若い人は都会に出ていったきり、戻ってはこない。山村地域の高齢化率は高く、未来への期待は持てない、存在意義や目標さえ失い、消滅してゆく時をじっと待っているようだ。
 農山村での都市化現象が進み、高度情報化が進み、高速交通網は拡大化して、情報・人・モノの移動性は高くなったが、都市部と農山村の相互理解は進んだだろうか。かえって、過疎対策として行われてきた公共事業や地方交付税などの地方政策が、財政危機の今、都市と農山村の敵対関係を生みだしてさえいる。
 しかし、こうした状況の中にあっても、新しい地域づくりの動き、国の政策や財源を当てにするのではなく、自らの存在価値を自らの力で追求する地域づくりの動きが少しずつ出てきた。山村市民(行政のサービスを受けるだけでなく、自らがサービスにも参加する住民のこと)と山村を愛する都市住民などの交流の中から、行政がお金を無駄に使わないまちづくりとしての新しい山村市民社会の可能性が見えてきた。
 「地域コミュニティとは何か」、「人間とは何か」を考える中で、地域を魅力的にしようとする人に会いたいと思い、私は旅してきた。不便であっても、人間と自然のかかわりの中から、精神の拠り所や暮らしに必要な技を身につけて、自力で生き抜いてみようとする野性的な生き方には感動させられるものがある。私は彼らから「地域遺伝子」(註1)が何であるかを学ぶとともに、悩みや相談を受け、全国のネットワークを活用した情報や知恵を伝え、地域に必要な人材を紹介してきた。そして、地域で活躍する人たちが、全国や世界に友を求めて交流できる場を、日本上流文化圏会議などで作り出してきた。以下では、そうした活動の中から、まちづくりコアとしての住民組織としての中間セクターの動きを紹介したい。

■中間セクター
 山梨県早川町の辻一幸町長は、「少し前までは山村社会には、千年、何百年も支持されてきた深い人情や慈悲、きめ細やかなコミュニティなど、目には見えない大切なものがありました。情けないことに、山村社会でも昭和30年代頃から、こうした良いものが古くさい、不便だということだけで消え去ろうしています。役場では、やることはやり、一生懸命仕事をしてきました。しかし、地域の歴史、風土や人間のあり方を深く掘り下げることは、行政で行うには無理があります。本当に人間的に暮らしたいと思えば思うほど、行政だけではできないと思うのです。山村は行政だけでは崩壊していってしまう時代なのです。地域の問題を深く掘り下げ、人間らしい暮らしにこだわるためには、役場以外の機関が必要なのです」と語る。
編集後記

 今回は、ニュースと議会情報を中心に編集しました。議会情報はもっともっと皆さんにお知らせしなければならないと思うことがたくさんありますが、あまりにも膨大な資料のためなかなか困難です。
 皆さんから疑問質問を投稿頂くと詳細に調査してこの欄で報告したいと思います。情報の共有が大切です。お気軽に投稿ください。

 この私設「かわら版」は14区民の皆様を対象に配布しておりますが14区以外の方にもお送りできますのでご紹介ください。郵送料として年会費千円のご負担をお願いしています。
(治)
 町長のこうした地域に対する強い思いと行動力が、早川町と外部とのネットワークを構築する原動力となり、地域にない感性やノウハウの外からの導入につながってきた。そこから、山村と外とのネットワークを活かし、上流圏から文化や文明のあり方を研究する、真に人間らしい暮らしの実現をめざすための中間セクター=日本上流文化圏研究所が生まれてきた。
 行政はこうした外文化の導入を継続して行うことや、自ら新たな文化や文明を作り出していく機関として適していない。担当者が数年で変わる仕組みでは、せっかく築かれた交流も断絶してしまう。また、農山村の行政はこれまで、間に合わせ的であっても一通りの施設をとりあえず揃えようとしてきた。それは身の丈を超え、オーバーオーダー、オーバースペックとなり、自治体の経営を圧迫してきている。市町村合併しようとも、すべてを行政単位で考える日本の地域社会は、閉鎖的になりやすく、相対的な見方ができなくなることが多い。行政エリアを超えて、官民の境を取り払い、地域に多様な関係性を取り戻していくことが地域再生のためには必要である。行政のひとり勝ちはありえないのである。
 現在、山村にあっても自然と人間との関係性は、経済性や効率を求めての開発優先で深まらない。極端にいえば、自然は観光的商品として開発され、地域住民は都会人へのサービスを行うために教育されてきたのが近代の山村の歴史であるといえる。これでは都会で、高度な教育を受けた地元出身者が帰ってこようにも帰ってくる場がないのである。
 宗教学者の中沢新一は以下のように述べている。
「現在は商品と貨幣と資本を通じて、『ヨーロッパ原理』で地球上を覆い尽くそうとしている時代である。私たちが伝統から受け継いできたものと、普遍化していく『ヨーロッパ原理』とのあいだに、調停をみいだせないままに、自然との関係ばかりか人間同士のつくりだしてきた社会関係に、深刻な危機を生み出している。人間の生命力を、ブラックホールのように吸い取ってしまう『空虚』が、いたるところに仕掛けられて、その空虚と戦わなければ、人間は創造的に生きていくことはできないし、生きていることのなかに充実感も生まれない。その空虚と戦い、創造的に生きることを可能にしてきたか、歴史を振り返ってみると、人間が創造的であったときには、いつも特殊な中間的な領域を開こうとしてきたことがわかる。公共と個人とのあいだにも、中間領域の創造が必要だ。そうでないと、生命力が萎縮していってしまう」(註2)
 行政でもなく、個人でもない「中間領域」の創造。早川町の上流圏構想〜日本上流文化圏研究所や高柳町の取り組みはそうした地平を目指しているのである。自分の町だけでなく、全国の町村のために、上流で生きる哲学を確立しようとしている山梨県早川町、そして、訪れる人にやすらぎと感動を与える新潟県高柳町をその事例として上げる。特に、両町で外との交流から紡ぎ出された新しい形の地域を担う組織、「日本上流文化圏研究所」(早川町)と「じょんのび研究センター」(高柳町)の設立までの経緯と、中間セクターを通じた新しい地域社会創造の可能性を取り上げてみたい。

以下次号に続く