マイスター報告書

平成12年8月2日

平成12年度「ふるさと活性化セミナー」

参加報告書

地域おこしマイスター
秋本治

テーマ　　　　　「21世紀の農林水産業とマーケッティング」
主催財団法人　　ふるさと情報センター
日時　　　　　　平成12年7月13日（木）　講演、事例発表
　　　　　　　　平成12年7月14日（金）　現地視察
講演会場　　　　札幌プリンスホテル（札幌市中央区南二条西11丁目）
講演　　　　　　基調講演豊田　豊氏（マーケティング・プロデューサー）
　　　　　　　　テーマ「21世紀の農林水産物とマーケッティング」
事例発表1　　　　飛谷博秀氏（北海道ＪＡながぬま　米穀販売推進課長）
　　　　　　　　テーマ「きらら397」マーケッティング大作戦
事例発表2　　　　山浦　守氏（ふるさと情報センター　調査役）
　　　　　　　　テーマＷＥＢショップ「ふるさと市場」
現地視察　　　　Ａコース:北海道空地支庁長沼町コース
　　　　　　　　Ｂコース：北海道富良野市「ぶどうケ丘公園」コース

はじめに
　さる7月、北海道で開催された「ふるさと活性化セミナー」に宮崎県地域おこしマイスターから杉田浩一氏（食品開発）、川野靖一郎氏（販売マーケッティング）、黒岩マサ子氏（特産品づくり）と私の4人で参加した。7月13日の講演会に続いて翌14日の現地視察は、私がＡコース、杉田、川野、黒岩の3氏がＢコースに参加した。

1.講演会
　

基調講演の平岡豊氏は、昭和36年4月から平成8年10月まで博報堂に勤務され、各企業や生協、農協、自治体等のマーケティングを担当されたそうで、実績が示すようにマーケティングの切り口に鋭い視点があった。特に消費者ニーズを生産者側からつくるというお話は、学ぶことが多かったと思う。今後、宮崎県で宮崎ブランド確立についてや販路拡大等についてのフォーラムが開催される際には隣県の大分出身でもあり福岡在住ということなので講師として招くとよいのではないかと思った。

　飛谷博秀氏の事例発表「きらら397」マーケッティング大作戦は、首都圏における長沼産米「きらら397」の売り込みには並々ならぬ努力の跡が伺われた。
　特に生産者側の品質管理については、人工衛生を活用して米に含まれるタンパク質の分析を行なうという（下図）画期的な手法を取り入れているなど先進的な取り組みがみられた。

　下図についての説明次のとおり。

「赤色が低タンパクの一般卸業者さんのいう美味しいお米です。深緑とかについては高タンパクといわれていまして食味が劣るという事で区別をさせていただいています。
　それらは4段階から5段階位で評価させていただいて､自分の土壌がどういう色で､どういう食味なのかっていうのが一目でわかるようになっています。
　こういう記録を全戸に配布してます。ひとつは生産者で高品質なお米､低タンパクなお米を刈り取りしていただきたい､収穫していただきたいという事です。
　耕作面積が広いので自分の住宅地域一か所という訳じゃないんで､どうしても三か所､四か所に点在しているというのが現状でして、その土壌もやはり違う。その中でまた肥料の実績でも違うという事で､それらを何とかして合わせた中で見ていただきたいと言う事で出した資料でもあります。
　まあ流通団体にはですね、見せたくない資料なんですけれど、生産サイドとしては大変意識の向上と言いますかねえ、切磋琢磨する。また自分なりには一生懸命やった結果がですね、高タンパクになっている。タンパクの高い売れないお米を自分で作ったと思った生産者は､やはりその改善策というのを自分なりにも考えてほしい、また､それらを見ながら、うちの技術指導等については、個別に相対でお話させていただいております。」
　ということで、米の品質管理を先端技術を駆使して取り組まれており参考になった。宮崎の早場米も首都圏の話を聞くと「味がどうもね」というお話を聞くが、このような取り組みが宮崎にも必要ではないかと思った。

　ふるさと情報センターの山浦　守氏のＷＥＢショップ「ふるさと市場」は、インターネットによる産直モール構築についての説明であった。ただ、これは都道府県関連団体による運営をリンクして行なうということなので効果はあまり期待できないのではないかと思った。

2.現地視察　長沼町
　長沼町は、札幌市の東に位置する人口12,816人の町で北海道を代表する食料基地となっている。そこに「マオイオートランド」（オートキャンプ場）や「マオイの丘公園」（道の駅）などが建設されている。

マオイオートランドの説明

　皆さん､おはようございます。昨日から｢ふるさと活性化セミナー｣にご参加下さいました皆さん本当にご苦労さまでございます。全国からお出でのようでございますが、わざわざ北海道の長沼町にお出で頂きまして誠にありがとうございます。ご案内のとおり札幌から長沼までは、33キロしかございません。それで､車でも1時間､長沼町には電車が走っておりませんので、バスで北広島から乗り継ぎますと､札幌駅には30分で着く距離にございます。

　大都市に隣接した純農村地帯でございまして､長沼町はこの水田が主な場所でございまして､面積が168平方キロメートルのうち110平方キロが田畑でございます。そのうち水田につきましては､一万ヘクタールあるわけでございまして、そのうちの30%弱が只今転作をしている状況にございます。

　人口にいたしましても､一番多い時で約2万人位あった訳でありますが、最近の農業情勢により農家個数も半減いたしまして､現在は1000戸､この農家で水田､畑の耕作をしているような状況でございます。

　北海道も開拓されて130年余りでございますが、この長沼町も明治20年の開拓でありまして､今年は113年目の年にあたる訳でございます。長沼町は､この低地帯ということで非常に水害に悩まされた町でもありまして、2年に1回は水害の町ということで全国からもいろいろ水害時にはお世話になった町でもございます。

　しかしながら56年の大水害以来､今日17､8年経ちますが､その後大きな災害もなく、中小河川の整備によりまして､水害のない町という事で､現在は農業を中心とした町でやっておりますけども､農業だけではどうしようもないという事で､観光に力をいれるなり､あるいは大都市に近いという事で民間の皆さんの協力により､住宅団地の造成等も行っている訳であります。

　住宅団地の造成につきましても375区画を只今整備いたしておりますが、その7割は既に売れるなり､建てて住んでいただいております。あと3割ございますので全国からお出での皆さん､非常に土地､建物とも安いわけでありまして､是非､環境の良い札幌に近い当地をひとつ､購入いただければ幸いかと存ずる訳でございます。

　そのような事で､観光に力を入れている中で私どもの町は、温泉を昭和60年にボーリングし毎分約2000リッター､50度の温度で出ております。非常に余っておりますので、これについては現在調整した中で温泉切符を使っている訳でございます。このキャンプ場につきましても利用頂ますと温泉へ入る無料の優待券も中に入れております。

　キャンプ場はオートキャンプ協会の4つ星印をいただいている訳であります。5つ星印はなかなか面積等の問題もあってとれないという事でございますが、4つ星もなかなか大変な状況にあった訳であります。

　農業においても消費者の皆さんの希望に応える為の農産物の直売所も各5カ所町営でやっておりますが、そこにはパークゴルフも北海道は特に盛んでございますので､パークゴルフ場も備えている訳でありまして､その需要とあわせて農産物を新鮮な物を､安く提供している場所でもございます。

　今回､訪問していただきます道の駅につきましても国道沿いでございますから､1日1万台以上の車が往来するという事で､非常に土､日は大繁盛している様でございまして､この件についても少しでも町の活性化に繋がればという事で現在も続いているような状況でございます｡いずれにいたしましても､この北海道は､この長沼町は､農業でなければ仕方がないという事から農業と観光という事を念頭においた中での町づくりを進めているのが現状でございます｡

　ご案内かと思いますが､全国で問題になりました長沼大吉氏訴訟で問題になりました長沼大吉氏の建物､施設がこの真上でございます。すでに29年が経ってございまして､隊員そのものは全体で270～280名でございますが家族も含めますと400人以上が住んでいただいております。航空自衛隊ですので音もないという事で町の為にも非常に自衛隊の皆さんの協力もいただいているのが現状でございます。本日は早朝から長沼町にお出でいただきまして本当にありがとうございました。森下のほうから簡単にご説明をいたします｡

　皆様､おはようございます。だいたいの長沼町についてのお話があったんですけれども､私のほうから､このマオイの丘公園全体の話、オートランド､また道の駅についてご説明させていただきます。

　今､皆様がいらっしゃる所がオートキャンプ場所なんですが､ここの一帯をですね、計画的に整備されて､今このようになっております。皆様の後ろ側になりますが､天然温泉が出ておりまして後程ゆっくり見学していただきたいと思います｡長沼温泉は63年に温泉が出まして農村と都市の皆様の交流の拠点の場という事で､整理を進めてまいりました。

　ここのオートキャンプ場につきましては、平成3年着工で、平成4年オープンしております。オートキャンプ場の使用状況なんですが､町外の方が80％強､町内の方が10％未満ぐらいの状態であります。そのうち､道外の皆様が30％以上ですね｡7月8月に年内のほとんどが集中しておりまして､ここのキャンプ場は4月末から10月の末まで開いてるんですけれども､北海道という事でありまして、7月8月に集中してしまいまして､あとの閑散期というのがありまして､若干そのへんに問題を抱えているというのが現状であります｡

　この他にパークゴルフ場というのが､その裏手側に18ホールあります。これは町内の方も町外の方も結構ご利用していただいているんですが､お孫さんから､おじいちゃんまで一緒にスポーツが楽しめるという事で､北海道では大変人気があるスポーツでございます。

　他に周辺施設としまして、テニスコートや野外ステージがありまして、ここの公園に来ますと､文化の交流だとかスポーツだとか､温泉だとか楽しめる事が出来るように整備されております。

　これから行って頂きます道の駅なんですけれども､札幌､帯広間を結ぶ主用道路の国道274号線というのが長沼を通っておりまして､平成8年8月5日付けで道の駅として指定を受けました。北海道では37番目の指定でございます。主な施設といたしましては､情報発進基地といいますかコンピューターを使いました大きなマルチビィジョンというのがメイン施設でございまして､その建物のなかに直売所や売店､レストランがあり長沼町のアーティストの作品を飾っておりましてギャラリー室があります。

　4階建てなんですけれども､一番上は展望スペースになっておりまして、360°のパノラマを楽しんでいただけるような施設になっております｡周辺にはパークゴルフ場が5コあります。関連施設なんですが野菜の直売所がございます。これに関しましては地域の農家さんや団体が集まっていただきまして､国道を利用される方がたくさんいらっしゃるという事で､市場に通すだけでなく自分たちで野菜を販売するという形で組合を作っております。平成5年からオープンいたしまして、売上的には当初は3000万円くらいの売上だったんですが､昨年の実績は2億8000万くらいまで売上のばしております。

　後は，ご覧になっていただいて実際､目で見ていただくのが一番分かると思いますので､このあとゆっくり見ていただきたいと思います｡ありがとうございました。

Ａ.マオイオートランド

Ｂ．道の駅「マオイの丘公園」
マオイの丘農産物直売所は、マオイ青果物販売グループ、ＪＡながぬま、17区グリーン営農団地、20区野菜販売グループ、幌内蔬菜集団、南長沼商店会、マオイ牧場倶楽部、長沼町果樹振興組合などそれぞれの団体によって運営されている。

Ｃ.ハイジ牧場
ハイジ牧場は、勇払郡早来町の金川牧場の肉牛部門として昭和45年に開設された。約100ヘクタールの土地に牛、馬、豚、羊、鳥類の飼育展示を行ない，教育牧場、牧場動物公園として広く親しまれるようになった。現在、200品種3,000頭羽が飼育されている。
園内は、アニマルゾーン、ネイチャーゾーン、グルメゾーン、学習ゾーン、遊び・冒険ゾーン、ロマンゾーンと6つのゾーンに区分されており、ヨーゼフ号とロッキー号と呼ぶミニＳＬが回遊している。
オートキャンプの利用料金は、大人（1泊2日）1,250円　　　小人（1泊2日）750円
デイキャンプ（大人）1,050円　（小人）550円である。この牧場公園のメインはジンギスカン料理で家族づれなどで賑わっている。

　
北海道は、広大な土地を有することから自治体やＪＡの取り組みもスケールが大きく大陸的である。グリーンツーリズムの視点で見ると

1.質のよいオートキャンプ場が多い
ＪＡＣ加盟のオートキャンプ場は、稚内・旭川地区14、札幌・ニセコ地区13、網走・釧路地区7、日高・帯広地区6で計40個所指定を受けている。
一方、九州の場合は、大分・阿蘇地区7、南九州地区9、西九州地区4で計20箇所と北海道の丁度半分である。

2.パークゴルフが盛んである。
広大な土地が多く遊休地の転用が容易にできることと草原に親しむ道民性から来るものかもしれない。

3.食べ物が美味しい
農産物から海産物まで味覚においては北海道にまさる地域はない。
以上。
　
　
　
　
　